「ワクチンを嫌う人は犬猫へのワクチン接種も控えがち」米国の研究で判明
犬猫3400匹の飼い主を調査
テキサスA&M大学公衆衛生学部は、ペットのワクチン接種に対する飼い主の態度と、その人が自分自身のワクチン接種をためらうかどうかについて調査し、このたび「Vaccine」誌上で発表しました。
この研究を担当したSimon Haeder准教授は、ペットのワクチン接種率とワクチンに対する飼い主の認識、ペットのワクチン接種義務への賛否について調査するために、2023年8月に2000頭以上の犬と1400匹以上の猫の飼い主に調査を行いました。
「ペットにワクチンを接種しない人が増えると、ペット自身の病気や死亡事故だけでなく、人間に感染したり新たな病原体の変異が起きたりして、大きな社会問題になります」とHaeder博士はいいます。
「多くの人がペットを家族だと考えている中で、ワクチンを接種していれば予防できた病気にかかってしまうと、飼い主の精神的および経済的負担は大きいのです」
コアワクチンの接種率は高いものの…
調査では、犬か猫、または両方を飼っているかどうか尋ねました。そして5つのペットの病気に対するワクチン接種状況について調査しました。これらの病気には、犬・猫共通で狂犬病、犬では犬パルボウイルスや犬ジステンパー、猫では猫汎白血球減少症や猫ボルデテラ感染症が含まれました。
その上で、リストアップされたそれぞれの病気へのワクチン接種を支持するかどうかや、各種ワクチンについての安全性、有効性、重要性の認識についても質問しています。
さらに、科学者に対する信頼感や「人間の子供への強制的なワクチン接種」を支持するかどうか、政治的イデオロギーや宗教、獣医費以外の生活費、飼い犬がほかの犬と接触する頻度についても尋ねました。そして回答者が人間へのワクチン接種に関して「安全かつ効果的で重要なもの」と考える度合いを測定しました。
その結果、圧倒的多数が犬や猫に狂犬病の予防接種を行っていることがわかりました。猫のワクチン接種の頻度は犬よりも少ない結果となりました。
また、コアワクチンの接種率に関しても、狂犬病予防ワクチンの接種率よりわずかに下回りますが、全体として高い水準でした。コアワクチンは、生活様式にかかわらず、すべての犬・猫に推奨されている重要なものです。一方で、ノンコアワクチンの接種はためらう飼い主が多くみられました。
さらに分析を進めたところ、ワクチンの重要性や有効性、安全性に対する理解度が、接種を行うかどうかに影響していることもわかりました。
ワクチン接種の拡大に向けて
総じて、ワクチンの安全性や有効性、重要性について、飼い主の多くが支持していることがわかりました。
しかし、人間へのワクチン接種に抵抗がある人は、ペットへの接種も控える傾向にありました。逆に「人間への接種を義務化すべき」とする人は、ペットについても同様に義務化してほしいと考えているようです。
今後、ワクチン接種をためらう人々についてより深く調査・研究することで、ワクチンによる将来の公衆衛生の在り方を明らかにできそうです。
「心配なのは、ワクチンで予防できる病気が大流行することです。ペットと人間のワクチン接種をためらう傾向をさらに分析し、こうした人々が増えないよう対策をとるべきです」とHaeder博士は話しています。
出典:Strong connections found between vaccine hesitancy and support for vaccinating pets
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