猫に危険な『慢性腎臓病』、症状や予防法は?急性の場合との違いも解説
慢性腎臓病とは?
慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。
腎臓には老廃物や余分な水分をフィルターして排出する役割がありますが、このフィルターがうまく機能しなくなることで腎臓病といわれる状態になります。そして腎臓の機能が低下すると、体内に老廃物や毒素が溜まっていき、体にさまざまな異常が生じます。
猫の場合、慢性腎臓病は15歳を過ぎると発症リスクが高くなるといわれていますが、若い猫が発症してもおかしくない病気です。
原因は加齢・脱水・ほかの病気などがありますが、これといった原因を突き止めるのは難しく「原因不明」のケースがほとんど。症状が出てから治療を開始しても腎機能の低下を止めることはできないため、早期発見をして治療を開始していくことが大切です。
慢性腎臓病の症状は?
慢性腎臓病を患うとさまざまな症状があらわれますが、厄介なのは初期段階では症状がほとんど見られないことです。
そのため次のような症状があらわれたときには、すぐに動物病院を受診する必要があります。
- 多飲多尿
- 嘔吐
- 食欲不振
- 体重減少
- 毛づやが悪い
- 便秘 など
これらの症状があらわれた場合は、すでに病気が進行してしまっていることが多いです。少しでも早く治療を開始するために、速やかに獣医師に相談するようにしましょう。
慢性腎臓病と急性腎臓病の違いは?
急性腎臓病(AKI)とは、その名の通り腎臓の機能が急激に低下する病気です。
猫の腎臓病には慢性腎臓病(CKD)と急性腎臓病(AKI)のふたつのタイプがあり、それぞれ異なる特徴があります。
1.発症の仕方
慢性腎臓病は徐々に進行するのに対し、急性腎臓病は突発的に発症する。
2.症状の出方
慢性腎臓病では初期には症状が出にくいが、急性腎臓病では激しい症状が急速にあらわれる。
3.原因
慢性腎臓病は加齢に伴う腎機能の低下が多いが、急性腎臓病は中毒、脱水や尿路疾患などの要因によることが多い。
4.治療方針
慢性腎臓病は症状を抑える対症療法が基本だが、急性腎臓病では原因を特定し治療することが重要。
5.予後
慢性腎臓病では腎機能の回復は難しいが、急性腎臓病では早期治療で回復の可能性がある。
このように両者は発症原因・治療方針・予後が異なる腎疾患です。飼い主はこの違いをしっかり理解し、猫の症状に応じて適切な対応を取れるようにしておきましょう!
慢性腎臓病を予防するには?
慢性腎臓病が猫にとって厄介で怖い病気ということはわかりましたが、飼い主であれば「愛猫をそんな病気にさせたくない」と思います。
慢性腎臓病は発症すると進行を止めることはできません。そのため「日ごろから慢性腎臓病にならないような生活をする」ことが予防には効果的です。
具体的には、次のようなことを行いましょう。
適切な食事管理
どのような栄養素でも摂りすぎや不足は体に良くありません。
とくに猫は肉食動物なのでたんぱく質をたくさん与えるのがベストと思う飼い主もいますが、たんぱく質の取り過ぎはかえって腎臓病のリスクを高めます。
もちろんたんぱく質は猫の健康にとって欠かせない栄養素のひとつですが、適量を守ることが大切です。
水分をたっぷり摂る
猫の慢性腎臓病の原因で多いのは「水分不足」。水分が不足すると腎臓に負担をかけることになって、腎臓病のリスクを高めます。
そのため毎日しっかり水分を摂取するようにしましょう。猫が水を飲まないときは、水飲みを変えてみたりフードを変更してみたりしても良いです。
ただし、現在療法食を食べていたり、ほかの病気を治療している場合は、勝手にフードの変更はせずに獣医師に相談してくださいね。
定期健診を受ける
猫の慢性腎臓病は早期発見・早期治療が重要ですが、初期にはほとんど症状がないため、定期健診で腎機能の異常を早期に発見することが大切です。
健康診断では、血液検査・尿検査・画像検査などを行い腎機能の状態を調べます。100%ではありませんが、定期健診によって症状も見られない初期段階の腎臓病を見つけられる可能性は高いです。
そのためシニア猫はもちろん、若い猫でも年に1回は健康診断を受けるのをおすすめします。
また定期健診は慢性腎臓病の予防だけでなく、他の病気の早期発見にも役立ちます。愛猫の健康を守るために、定期健診を欠かさないようにしましょう。
まとめ
慢性腎臓病は猫に多い腎疾患であり、初期症状はほとんどあらわれないため早期発見と早期治療が大切です。
また慢性腎臓病の予防には適切な水分管理・適切な食事・定期健診の実施など日頃の健康管理も欠かせません。つまり飼い主の理解とケアが、腎臓病から愛猫を守るために必要であるということです。
ぜひ今回紹介した内容を参考に、猫の慢性腎臓病について知り、愛猫の健康寿命をサポートしてあげてください!
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