猫の『体温調節』にまつわる6つの話 なぜ汗でべったりしないの?鼻で温度を感じるって本当?
1.猫は鼻で温度を感知している
猫は人間とは異なり、鼻による温度感知を得意としています。猫の鼻の温度感知能力は高く、少しの温度変化も敏感に察知します。
一方、その他の部位は体温を感知する能力が低いとされています。ストーブや火が付いているコンロに近づきすぎて、被毛やひげが焦げてしまう事例がありますが、これは猫が鼻以外の体温感知能力が低いために生じるトラブルだと考えられます。
2.汗をかくのは肉球と鼻のみ
実は猫が汗をかく部位は、肉球と鼻先だけです。
猫は隠密性が高い狩りを行っていたため、体臭の発生を最小限に抑える必要がありました。その結果、汗は肉球と鼻先だけで放出するようになり、体臭もあまりしない体のつくりとなったようです。
体臭が発生しにくくなった一方で、汗をかける場所が限定的であるため、猫は人間のように汗で体温を調節することができません。
3.呼吸で体温を調節
汗で体温を調節できない猫は、代わりの方法で体温管理を行っています。
そのひとつが呼吸。暑くて体温が上昇したときは、呼吸を早めることで体温を下げようとします。猫はこのとき、基本的に口ではなく鼻で呼吸します。ただし、絶対にしないという訳ではなく、後述するパンディングのために口呼吸を行うこともあります。
4.ヘソ天で放熱
猫が床をゴロゴロしながら行うことが多いヘソ天も、体温調節の一環です。仰向けに転がることで体温を放出させようとしているのです。
猫がヘソ天をしているとつい触りたくなってしまいますが、お腹は内臓に近い動物にとっての弱点ともいえる場所。下手に触ろうとすると怒られるので、遠巻きに眺めるだけにしましょう。
5.奇網でも体温調節
少々専門的な話になりますが、猫の体温調節には「奇網」という気管も関わってきます。奇網とは、猫の脳へと向かう頸動脈にある細かく枝分かれした網状の血管組織です。
奇網の機能を端的に述べるとすれば、脳へと向かう血液の冷却機能です。
奇網を通過する前の血液は温度が高めなので、そのまま通過すると猫の脳温が上昇してしまいます。しかし、奇網を通過すると、冷たい血液が流れる海綿静脈洞と交差し、その結果、効率的に脳へと向かう血液が冷やされます。
血液の冷却システムともいえるこの奇網は、ヒトやサルには備わっていません。また、犬と比較しても猫の奇網は多いようです。この奇網の影響もあり、猫は汗を流さず対応調節ができるのです。
6.パンディングとシバリング
「パンディング」とは、いわゆる口呼吸による放熱のことです。犬がよくハァハァしているのが、パンディングです。猫は口呼吸に頼らずとも体温調節できるため、あまり行いません。
しかし、どうしても体温放出が追いつかないときはパンディングで熱を放出させようとします。このときの猫が体温が高まりつつあり危険な状態なので、早急に室内環境を見直してあげましょう。
反対に「シバリング」は、体を振動させて体温を高めようとする行動です。人間も寒い日に体を小刻みさせ、温まろうとシバリングを行います。この場合は猫が寒さを感じているため、温まれるよう暖房機器や毛布などを用意してあげましょう。
まとめ
猫はヒトや犬とは異なる動物なので、当然「体温調節」などの機能も別物です。
そのため、猫の「体温調節」についてあらかじめ知っておくことは、愛猫の健康を守る上でとても大切なことです。
特に、猫が口呼吸であるパンディングを行うときは注意が必要です。この場合は熱中症になりかけている危険性があるため、必要に応じて動物病院を受診することをおすすめします。
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