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こうした背景にあって、イーチアン・ウー氏ら研究チームは、木材の代わりに竹を用いて、透明な材料を作ることにしました。
研究チームは、「竹は成長と再生の速度がはやく、4~7年で成木となり、建築資材として利用できます」と述べています。
また、「1エーカー(約1200坪)あたりの生産量は木材の4倍です」と続けており、竹が木材の供給不足に対応できることを強調しています。
しかも、竹の構造と化学組成は木材と非常によく似ているため、これまでに開発されてきた「透明な木材」と同じ方法で、「透明な竹」を作ることができます。
実際に研究チームは、竹からリグニンを取り除き、無水珪酸ナトリウムを注入。その後撥水処理を施すことで、竹由来の新しい透明材料を作ることに成功しました。
この竹材料は、光透過率71.6%であり、耐水性と耐火性を備えています。
従来のガラスや透明な木材の代わりに、建築材料として役立つことでしょう。
さらにこの透明な竹は、次世代の太陽電池として注目を集めている「ペロブスカイト太陽電池(曲げられる。薄い。軽い。低コストなどの利点がある)」の基盤としても利用できるようで、その場合、電力変換率を15.29%も向上させられる可能性があります。
今後は、多くの生産を見込める竹こそが、この「透明な竹」のように、新たな材料の基盤となっていくのかもしれません。
参考文献
Transparent bamboo: A fireproof and waterproof alternative to glass
https://newatlas.com/materials/transparent-bamboo-fireproof-waterproof/
CSUFT-led team creates novel flame-retardant, smoke-suppressing, and superhydrophobic transparent bamboo for future glasses
https://www.eurekalert.org/news-releases/1043562
元論文
A Novel Flame-Retardant, Smoke-Suppressing, and Superhydrophobic Transparent Bamboo
https://doi.org/10.34133/research.0317
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部