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特に以下の4つの遠方カイパーベルト天体グループの独特の軌道は、太陽系に海王星より外側の軌道を回る9つ目の未発見の惑星から継続的に重力の影響を受けたと考えないと説明できません。
そこで今回の研究グループは、45億年前の初期太陽系に既知の4つの巨大惑星に加えて、海王星より外側にどのような惑星が存在すれば、現在の太陽系の状況(特にカイパーベルト天体の特性)を再現できるか検証するシミュレーションを行ったのです。
そしてそのシミュレーション結果、下記の条件を満たす惑星が存在すると、遠方カイパーベルト天体の軌道をうまく再現できることがわかったのです。
(※天文単位:1AU=約1億5000万キロで、地球・太陽間の距離に相当)
つまり、地球より1.5倍から3倍重く、そして太陽から300億km-1200億kmの範囲(太陽からの距離に幅があるのは中心点がズレた楕円軌道のため、上図を参照)に位置し、30度の傾斜を持つ惑星があれば、これまでの解決できなかった遠方カイパーベルトの天体の特性を説明できることがわかったのです。
これらの結果は、遠方カイパーベルトにある天体の分布も説明でき、観測結果と矛盾しないこともわかりました。
この事実は太陽系外縁部に未発見の惑星が存在する可能性を強く示唆しており、それを発見するための手がかりを提供しています。
以前から、太陽系外縁部には「プラネット・ナイン」と呼ばれる、未知の大型の天体の存在が提唱されていました。
プラネット・ナインもまた、カイパーベルトの天体の複雑な軌道が、既知の太陽系の惑星との相互作用だけでは説明できないことから提唱されている理論です。
原始星系において惑星の存在が、星系に複雑な軌道を生むことは、地球から遠く離れた星の観測からも明らかになっています。
今回の研究で、未発見の惑星が存在する可能性が高まり、またその惑星が持つべき特性の詳細が初めて明らかとなりました。
近い将来、太陽系の惑星が再び9つになる日が来るのかもしれません。
参考文献
シミュレーションで太陽系外縁部に未発見の惑星がある可能性を示唆 世界初、海王星以遠の天体の特性を再現することに成功 https://www.kindai.ac.jp/news-pr/news-release/2023/08/039803.html元論文
Is There an Earth-like Planet in the Distant Kuiper Belt? https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/aceaf0 The planet nine hypothesis https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S037015731930047X?via%3Dihub