ポテチやカップ麺、菓子パンなどのいわゆる超加工食品を頻繁に食べている人は要注意です。

このほど、豪ディーキン大学(Deakin University)の最新研究により、日常的に超加工食品を多く摂取している人は、将来的に精神的苦痛が生じやすくなることが判明しました。

この結果は性別や年齢、学歴、経済状況といった他の因子を考慮した上でも変わらなかったという。

精神的苦痛は「うつ病」を示す指標でもあり、超加工食品ばかり食べていると、後々の人生でひどい気分の落ち込みに襲われるかもしれません。

研究の詳細は、2023年8月15日付で学術誌『Journal of Affective Disorders』に掲載されています。

目次

  • 超加工食品は「うつ病」の発症リスクを高める?
  • 超加工食品とうつ病の関連性が明らかに!

超加工食品は「うつ病」の発症リスクを高める?

うつ病は、日常生活に支障をきたすほどの強い悲しみ、絶望感、やる気の減退、活動に対する興味や喜びの喪失などを特徴とする気分障害です。

また食欲や睡眠の質、エネルギーレベル、集中力の低下を伴うことも知られています。

現在、うつ病は世界的に最も増加傾向にある精神疾患の一つであり、世界保健機関(WHO)は患者数が2015年時点で約3億2200万人を突破したと推定しています。

うつ病の重症度には様々な要因が関係しますが、近年の研究では特に食事の質の低さとの関連性が注目され始めています。

食生活は他の多くのうつ病関連因子よりも容易に直せる習慣であるため、うつ病との関連性をはっきりさせることは非常に重要です。

Credit: canva

そこで研究チームは、質の低い食事の代表でもある「超加工食品」に焦点を当てました。

超加工食品とは、高レベルの糖分、塩分、脂肪分を含み、同時に人工甘味料や乳化剤、保存料などの添加物を混ぜて加工された食品のことです。

多くの超加工食品は常温でも保存でき、長持ちするメリットを持ちますが、その反面、栄養価はかなり低くなっています。

代表的な食品を挙げると、スナック菓子、菓子パン、菓子類(ビスケット・アイス・チョコ等)、カップ麺、冷凍食品、清涼飲料水などです。

スーパーやコンビニで気軽に買えるため、私たちにとっては馴染み深いラインナップばかりでしょう。

ただし、こうした食品ばかりを食べると体に良くないのは想像に難くありません。

チームは今回、「超加工食品の摂取」と「将来的なうつ病リスク」との関連性を調べることにしました。

超加工食品とうつ病の関連性が明らかに!

今回の研究では、生活習慣と非感染性疾患(NCDs)との関連性を調査することを目的としたオーストラリアの「メルボルン共同コホート研究(Melbourne Collaborative Cohort Study)」のデータを分析しました。

NCDs:不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患をまとめて総称したもの)

ここではオーストラリア在住の27歳から76歳までの被験者2万3299人 (女性1万3876人)を対象としています。

まず調査開始時の1990〜1994年に、アンケート調査によって、被験者の普段の食事習慣と精神的苦痛(疲労、絶望、神経質、悲しみ、無価値などの症状)に関するデータが収集されました。

そして最初の調査から10年以上経った2003〜2007年に再び精神的苦痛のデータを集めます。

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データ分析の結果、超加工食品の摂取量が最も高かったグループ(上位25%)は、超加工食品の摂取量が最も低い下位25%のグループと比較して、10年以上後に精神的苦痛を経験するリスクが14%高くなっていたのです。

超加工食品を最も消費していた上位25%は、他の被験者に比べて精神的苦痛のレベルが高くなっていました。

また、これらの人々はタンパク質、食物繊維、飽和脂肪の摂取量が少なく、果物や野菜を食べる頻度も少なかったとのことです。

こうした統計研究に対しては、超加工食品をよく摂取する人はそもそも外出をしないとか、経済状況が低いなどの要因を持ち、そちらの影響が大きいのではないかと疑う人も多いでしょう。

しかし今回の結果は、性別や年齢、学歴、経済状況、ライフスタイル、その他の健康関連行動(運動習慣、喫煙・暴飲暴食の有無、ストレスへの対処など)を考慮した上でも変わりませんでした。

以上を踏まえると、超加工食品の過剰摂取は将来的なメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が高いと結論されます。

精神的苦痛はうつ病の程度を示す指標ともなっているため、超加工食品ばかり食べていると、うつ病の特徴である強い気分の落ち込みや喜びの喪失、集中力の低下を引き起こしてしまう可能性が高くなると考えられます。

「そういえば最近、ポテチやカップ麺をばかり食べているな」と心当たりのある方は、将来のためにも少しずつ摂取量を減らす習慣をつけて損はないでしょう。

とはいえ今回の研究では、超加工食品とうつ病との相関性が明らかになったばかりです。

チームは今後、超加工食品のどんな物質がメンタルヘルスの悪化につながるのかを解明していきたいと考えています。

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参考文献

People who consume more ultra-processed foods are more likely to experience psychological distress later in life https://www.psypost.org/2023/08/people-who-consume-more-ultra-processed-foods-are-more-likely-to-experience-psychological-distress-later-in-life-168194 Eating too much ultra-processed food could make us depressed https://www.deakin.edu.au/about-deakin/news-and-media-releases/articles/eating-too-much-ultra-processed-food-could-make-us-depressed

元論文

High ultra-processed food consumption is associated with elevated psychological distress as an indicator of depression in adults from the Melbourne Collaborative Cohort Study https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165032723006092
情報提供元: ナゾロジー
記事名:「 ポテチやカップ麺を頻繁に食べる人は人生後半で精神的に苦しむことになる