- 週間ランキング
2つ目は「エキセントリック運動(伸張性筋収縮)」と呼ばれるもので、腕を伸ばすように重りをゆっくりと降ろす動作になります。
ダンベルなら肘を曲げた状態から前方に伸ばす動きを指し、重力に逆らうように「ゆっくりと」伸ばすことがポイントです。
近年の研究では、このエキセントリック運動の方が筋肉により大きな負荷がかかり、筋肉量を効率的に増やすのに有効であることが明らかになっています。
実際に自宅で試してみれば、エキセントリック運動の方がキツいことが実感できるでしょう。
さて、今回の研究目的は、エキセントリック運動をどのくらい行えば、有意な筋トレ効果が得られるかを明らかにすることでした。
同チームは以前に、上腕二頭筋のエキセントリック運動(ダンベルを持った状態からゆっくり伸ばす筋トレ)を1回3秒、週5日に設定し、被験者に4週間(合計で1分間)続けてもらう実験をしています。
その結果、被験者の上腕二頭筋は実験前と比べて、平均11.5%も筋力量が増加する驚くべき効果が得られていました。
そこで今回は、エキセントリック運動の筋トレ効果が得られる最低限の回数を調べることに。
健康な若年成人26人を対象とし、先とまったく同じ筋トレを「週2日するグループ」と「週3日するグループ」に分けました。
これを同様に4週間続けてもらった結果、週2日行うだけでは筋力の増加が見られませんでした。
ところが週3日行ったグループでは、筋力量が平均して2.5〜3.9%有意に増加していることが判明したのです。
以上の結果から、エキセントリック運動で筋トレ効果を得るには、少なくとも1回3秒を週3日行うだけで十分であることが示されました。
研究者らは、こうした超短時間のトレーニングでも効果が得られる理由について「筋肉の回復時間が長いからではないか」と推測しています。
2017年の研究では、筋トレをしていない休止期間は筋肉の回復と増大に関与していることが示されています。
ただし、1回3秒の筋トレを週3日よりも週5日した方が効果が高いことは確かであり、ある程度は筋トレの頻度を増やすことも重要となるでしょう。
研究主任の一人で運動・スポーツ科学者の野坂和則(のさか・かずのり)氏は「他の部位の筋肉はまだ調べていませんが、1回3秒ルールが他でも効果が得られると分かれば、30秒以内でほぼ全身の筋トレができるかもしれません」と話しています。
ごく少量の運動でも、定期的に続けていれば、私たちの体に変化をもたらすことは可能なようです。
1回3秒を週に数回でいいのなら、三日坊主グセがある方でも続けられそうですね。
参考文献
Shortest Workout Ever: 3 Seconds of Exercise 3 Times a Week Grows Muscle https://www.sciencealert.com/shortest-workout-ever-3-seconds-of-exercise-3-times-a-week-grows-muscle The magic number: How many days a week you need to exercise to see real benefit https://www.ecu.edu.au/newsroom/articles/research/the-magic-number-how-many-days-a-week-you-need-to-exercise-to-see-real-benefit 片側のエキセントリック(伸張性収縮)トレーニングはトレーニング効果が長続きすることを明らかにしました(2021) https://www.nuhw.ac.jp/research/2021/08/post-69.html元論文
Weekly minimum frequency of one maximal eccentric contraction to increase muscle strength of the elbow flexors https://link.springer.com/article/10.1007/s00421-023-05281-6