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原因不明の感染症の可能性があると見て、医師たちは傷口まわりの皮膚サンプルを採取し、分析にかけることに。
男性への処置としては、3種類の抗生物質を静脈注射し、加えて経口での抗生物質の服用を追加しました。
その5日後、幸いにも男性の症状は治まり、現在では後遺症もなく全快しているとのことです。
一方で、医師チームには男性の症状の原因を突き止める仕事が残されていました。
チームが皮膚サンプルに含まれていた微生物を分析したところ、レンサ球菌によく似た細菌の単離に成功しています。
レンサ球菌はグラム陽性球菌に属し、肺炎や咽頭炎、創傷、皮膚感染症、敗血症、心内膜炎など、多くの疾患の発症原因となる細菌です。
ところが単離した細菌のゲノム配列を解読した結果、過去に記録されているどのレンサ球菌の菌株とも一致しないことが判明したのです。
これは明らかに科学者が正式に記録したことのない新しい細菌でした。
その後の調査で、この細菌はグラム陽性球菌の中のグロビカテラ(Globicatella)という、レンサ球菌とは別属に分類される細菌グループの一種であることが特定されています。
それでも細菌のゲノム配列は、グロビカテラ・サルフィドファシエンス(G.sulfidfaciens)のような他の近縁株とも約20%ほど異なっていました。
G.サルフィドファシエンスは、いくつかの典型的な抗生物質に耐性があるため、体内から根絶することが難しい細菌として知られています。
今回見つかった新種は幸運にも、追加で処方した一部の抗生物質によく反応しましたが、この症例報告は私たちにとって無視できない警告を与えているでしょう。
医師らは「今回のケースは、いまだ発見されていないヒト病原性の細菌種の貯蔵庫として、野良猫が重要な役割を果たしていることを強調している」と指摘しました。
つまり、安易に野良猫に触って噛まれたりでもすると、特効薬が存在しないような未知の細菌に感染する危険性があるのです。
また噛まれるだけでなく、爪で引っ掻かれたり、あるいは元々あった傷口を舐められるのも注意しなければなりません。
医師らは「もし野良猫に噛まれたた場合は、すぐに傷口を石鹸や塩で優しく洗い流し、医師の診察を受けるべきです」と述べました。
道端でのほほんとしている野良猫を見かけると、ついつい撫でたくなりますが、くれぐれも反感だけは買わないように気を付けてください。
参考文献
Man Bitten by Stray Cat Contracts Infection Unknown to Science https://www.sciencealert.com/man-bitten-by-stray-cat-contracts-infection-unknown-to-science元論文
Soft Tissue Infection of Immunocompetent Man with Cat-Derived Globicatella Species https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/29/8/22-1770_article