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そこでチームは新たに、fMRIデータから時空間情報を学習するAIモデル「Mind-Video」を開発しました。
これまでの技術では、脳活動のデータをそのまま静止画として画像化していましたが、Mind-VideoはfMRIデータの時空間情報を学習することで、断続的に得られた画像の間を埋めて滑らかに繋ぐことができます。
そして被験者に映像サンプルを見てもらいながら訓練を続けた結果、Mind-Videoは85%という高い精度で、映像の視覚情報や動きのダイナミクスを復元できるようになったのです。
こちらは被験者に見てもらった映像サンプル(左)とMind-Videoが生成した映像(右)です。
研究者は「基本的な物体や動物、人間、シーンの状況を脳活動のスキャンデータのみから高い精度で復元できた」といいます。
また「さらに重要なのは、走る・踊る・歌うなどの動作や、速い動きのシーン、街並みのロングショットのシーンなど、映像のダイナミクスも正しく再構成できたことです」と続けています。
脳活動のデータだけでこれほど正確な映像が復元できるとは驚くべきことです。
正確に同じ画像を出力できるわけではないものの、見ている動物の種類、ロケーションなどは一致していて、人混みを見ているときはきちんと人混みの風景が再現されています。
研究者は、この技術がさらに進歩して実用化されれば、日頃の中で思い描く思考イメージや、あるいは睡眠中に見た夢を映像として残せるようになるかもしれないと述べています。
私たちは平均して一晩に最大6回の夢を見ますが、目覚めた後の数分でその90%は忘れ去られてしまうとされています。
夢というのは創造的なアイデアをつかむための重要な場所です。
たとえば、ビートルズの名曲「Yesterday」のメロディーは、ポール・マッカートニーが夢の中で思いついたものだと言われています。
他にも夢の内容を自らの作品に活かした芸術家はたくさんいますが、せっかく見た夢を忘れてしまっては意味がありません。
しかし寝ている間に脳活動を記録し、それを翌朝にAIに映像化して見せてもらえるとしたらどうでしょう?
起きているときにはとても思いつけない斬新なアイデアが簡単に得られるようになるかもしれません。
参考文献
Mind-Video https://mind-video.com/ AI tool generates video from brain activity https://techxplore.com/news/2023-05-ai-tool-generates-video-brain.html元論文
Cinematic Mindscapes: High-quality Video Reconstruction from Brain Activity https://arxiv.org/abs/2305.11675