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ドーソン氏ら研究チームによると、成人の4~22%が不眠症を抱えているようです。
不眠症の中で最も多いタイプである「入眠障害」で悩んでいる人は、なかなか寝つけず強いストレスを感じます。
睡眠不足による日中の倦怠感や集中力低下、食欲不振に繋がることも多く、日常生活に支障をきたします。
また慢性的な不眠症は、心血管疾患、糖尿病、うつ病などの健康問題とも関連しています。
不眠症が悪化しているために睡眠薬に頼る人もいるでしょうが、多くの人はなんとかして自然な睡眠を取る方法を模索しているはずです。
では、不眠症の悪化を防止し、睡眠の質を改善する良い方法はあるでしょうか?
ドーソン氏ら研究チームは、睡眠クリニックで治療を受けている18歳以上の患者4886人を対象にアンケート調査を行い、行動と症状の関連性を分析しました。
このアンケートには、不眠症のレベル、睡眠薬の使用、寝る時の行動やそれに費やした時間、精神科の診断に関する質問が含まれていました。
そして分析の結果、不眠症を悪化させる1つの行動が明らかになりました。
ベッドや布団の中で「時刻を確認する」行動が不眠症を悪化させ、そのようにして頻繁に時間をチェックする人は睡眠薬の使用量も増える傾向にあったのです。
ドーソン氏は、一層眠れなくなるプロセスを次のように説明しています。
「人々は十分な睡眠が取れていないことを心配し、眠りに落ちるまでにどれくらい時間がかかるか、そしていつ起きなければならないかを見積もり始めます。
こうした行動が入眠を促進することはなく、ストレスを増加させるため眠りにつくことを一層難しくします」
夜に眠れないと、「今何時だろうか」と、ついつい時計をチェックしてしまうものです。
しかしこの行動はイライラや不安、焦りを増長させるだけであり、むしろ不眠症を深刻化させてしまうのです。
そのためドーソン氏は、眠れなくて悩んでいる人に、時間を確認できないよう体の向きを変えたり、時計を隠したりするよう勧めています。
またスマートウォッチを外し、スマホをベッドから遠ざけることも効果的なようです。
これは誰もが実践できる単純な調整ですが、不眠症を軽減するのに役立つでしょう。
とはいえ、不眠症は様々な要因が絡み合って生じています。慢性的な不眠症で悩んでいる人は、まず専門家に診てもらうようにしましょう。
そして不眠症ではない人でも、たまに夜眠れなくなることがあります。
しかしそんなとき、焦って時計を見て、もうこんな時間……あと何時間しか寝られない、と考えないようにしましょう。
時計は気にせず、リラックスすることが眠るために必要なことなのです。
参考文献
Losing sleep over losing sleep: How watching the clock impacts insomnia, use of sleep aids https://news.iu.edu/live/news/28256-losing-sleep-over-losing-sleep-how-watching-the-clock-元論文
Use of Sleep Aids in Insomnia: The Role of Time Monitoring Behavior https://www.psychiatrist.com/pcc/sleep/use-of-sleep-aids-in-insomnia-the-role-of-time-monitoring-behavior/