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カンブリア紀といえば、5億4200万〜5億3000万年前の間に突如として、今日見られる動物の門(ボディプラン)が出そろったた「カンブリア爆発」が起きた時代です。
バージェス頁岩はその後の時代の生物群を保存した化石であり、生命がいかに進化したかを知る上で貴重な手がかりとなっています。
他方で、カンブリア紀に続くオルドビス紀(約4億8830万〜4億4370万年前)の化石群はほとんど見つかっていませんでした。
それゆえ、カンブリア紀の古生物たちがどんな進化の道をたどったのかがよく分からなかったのです。
しかし研究チームは今回、英ウェールズのキャッスルバンク採石場で、約4億6200万年前のオルドビス紀中期に当たる化石群の発見に成功しました。
爆発的な進化を起こしたカンブリア紀の生物はどんな姿に変わっていたのでしょうか?
この驚くべき化石群は2020年に、研究主任のジョセフ・ボッティング(Joseph Botting)氏とルーシー・ミューア(Lucy Muir)氏によって発見されました。
ここには大量の古生物たちの軟部組織がきわめて良好な状態で保存されており、カナダのバージェス頁岩と比べても遜色ないといいます。
これまでの調査ですでに170種を超える古生物の化石が回収されており、そのほとんどが新種とのことです。
見つかった生物の中には、ワーム・ヒトデ・海綿動物・甲殻類の他に、カンブリア紀のオパビニアやメガケイラに似た絶滅節足動物も含まれていました。
つまり、カンブリア紀の古生物の一部はオルドビス紀まで生き延びていたことを証明しています。
化石の多くは体長1〜5ミリと非常に小さかったため、ボッティング氏らは”海洋の小人世界(Marine Dwarf World)”と親しみを込めて呼んでいますが、眼や脳、消化器官まで精巧に保存されているものも多かったという。
このような詳細な情報はカンブリア紀の動物群からはよく得られていますが、オルドビス紀ではほとんど知られていませんでした。
研究者いわく、オルドビス紀は硬い骨格の進化と種の多様化が進んだ生命史の重要な時期です。
しかし、オルドビス前期〜中期の化石群の発見例がきわめて少なかったため、そこには大きなギャップが存在していました。
今回見つかった化石群は、その進化のギャップを埋める貴重な情報源となるでしょう。
参考文献
Middle Ordovician ‘marine dwarf world’found in Castle Bank, Wales https://phys.org/news/2023-05-middle-ordovician-marine-dwarf-world.html Incredibly Preserved Fossils Show How Weird The Sea Was 462 Million Years Ago https://www.iflscience.com/incredibly-preserved-fossils-show-how-weird-the-sea-was-462-million-years-ago-68688元論文
A Middle Ordovician Burgess Shale-type fauna from Castle Bank, Wales (UK) https://www.nature.com/articles/s41559-023-02038-4