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HPVとは、性的接触のある女性であれば50%以上が一生に一度は感染する普遍的なウイルスです。
特に女性では「子宮頸がん」の発症原因となるウイルスとして知られています。
ところが欧米ではここ数年、HPVを原因とする中咽頭がん(年間1万4000人)の方が、子宮頸がん(年間1万1000人)よりも発症件数が高くなっているのです。
メハンナ氏によると、HPV関連の中咽頭がんの発症率は現在、全体の70%を占めるまでになっているという。
そのせいか、以前は中年男性によく見られた中咽頭がんが、今では若い世代の男女にも普通に見られるようになっています。
つまり、中咽頭がんの増加の裏では、人々のオーラルセックスの機会が増えていることも予想されるのです。
ただ、HPVを原因とするがんは、予防することが可能です。
この問題の発症率はどの程度あり、どうやって対処していくべきなのでしょうか?
近年の研究で、中咽頭がんの発がん率は性的パートナーの数、それもオーラルセックスの数に大きく左右されることが分かってきました。
調査では、オーラルセックスをするパートナーが6人以上いた人は、オーラルセックスをしない人に比べて、中咽頭がんの発症率がなんと8.5倍も高くなっていたのです。
メハンナ氏がイギリスにて、扁桃腺の摘出手術を受けた約1000人の患者を調べたところ、成人の80%がオーラルセックスを経験したことがありました。
しかし幸いにも、その中で中咽頭がんを発症する人はごく少数です。
その理由は定かでありませんが、有力な説としては「HPVは自然免疫で十分に対処できる」ことが挙げられています。
実際、HPVに感染した90%の人は免疫力で自然に排出できるそうです。
ところが残りの10%は免疫システムに欠陥があるためか、HPVを排除することができず、そのままウイルスが継続的に複製され、中咽頭の細胞をがん化させてしまうのです。
HPVのワクチン接種は、子宮頸がん予防のために多くの先進諸国で若い女性を対象に実施されています。
日本では2013年4月に、小学6年生〜高校1年生の女生徒を対象にHPVワクチンの定期接種が開始されました。
ところが接種後に多くの生徒が目眩や体の痛みを訴えるなどしたため、HPVワクチンは全国的に定着せず、2019年時点では接種率が4%以下にまで落ち込んでいます。
これは先進諸国の中でもワーストレベルです。
しかし先行研究によると、女性のHPVワクチンの接種率が高い国(85%以上)では、集団免疫の獲得によって、男性へのHPV感染も少なくなるというエビデンスが得られています。
これを受けてアメリカでは、2020年までは女性のみが接種可能だったHPVワクチンを男性にも適用することを決定しました。
さらにイギリスやオーストラリアでも男性への接種拡大を進めています。
コロナ禍の中でワクチン接種には抵抗がある人も多いかもしれませんが、日本でも男女双方にHPVワクチンを広めることで、中咽頭がんの発症を減らすことが期待できるでしょう。
参考文献
Throat Cancer Is Becoming an Epidemic, And Our Sex Lives Could Be Behind It https://www.sciencealert.com/throat-cancer-is-becoming-an-epidemic-and-our-sex-lives-could-be-behind-it Oral sex is fueling an ‘epidemic’of throat cancers in the US and UK, doctor claims https://www.dailymail.co.uk/health/article-12016417/Oral-sex-fueling-epidemic-throat-cancers-UK-doctor-claims.html