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社会不安症とは、社会的な活動や状況に参加することに過剰な不安を抱く、ごくありふれた症状です。
たとえば、人前で喋ったり食事するときなど「恥を描くのではないか」と過度に心配してしまい、顔がこわばったり、赤くなったり、冷や汗をかいたり、手が震えたりします。
そのため、他者とのコミュニケーションが不安になり、通常の生活を送ることが難しくなるのです。
実験では、数名のボランティアに協力してもらい、脇汗のサンプルから抽出したケモシグナルを使用しました。
汗の採取時には、ホラー映画(『呪怨』)とコメディー映画(『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』か『天使にラブソングを』)のいずれかの短いクリップを観てもらいます。
これは汗をかいているときの感情の違いによって、不安の軽減効果に差が出るかどうかを調べるためです。
具体的には、ホラー映画では恐怖や嫌悪感が、コメディー映画では多幸感が生じることで、ケモシグナルの質にも違いが出るのではないかと予想されました。
次に、社会不安症を持つ女性48名(15歳から35歳)を集め、16人ずつの3グループに分け、不安を和らげるための一般的な心理療法である「マインドフルネス認知療法(MBCT)」を2日間にわたり受けてもらいます。
心理療法の最中には、1つ目のグループにホラー映画を見た人のケモシグナルを、2つ目のグループにコメディ映画を見た人のケモシグナルを浴びせ、3つ目のグループは通常の清潔な空気下にさらしました。
その結果、ケモシグナルを浴びながら心理療法を受けた2グループは、3つ目のグループに比べて不安の軽減効果が高いことが示されたのです。
3つ目のグループにおける不安スコアは1回の治療セッションで約17%減少したのに対し、先の2グループでは不安スコアが39%も減っていたのです。
しかし一方で、汗をかく人の感情状態による効果の違いは見られませんでした。
研究主任のエリサ・ヴィグナ(Elisa Vigna)氏は「幸せな気分のときにかく汗は、恐怖を感じているときにかく汗と同様の不安軽減の効果を持っていた」と説明。
「これはつまり、感情と関係なく、汗に含まれるケモシグナルは共通して不安を軽減する何らかの機能を持つ可能性がある」と話します。
チームは現在、さらなる結論を得るために、感情的に中立なドキュメンタリーを観た場合の汗でも追加実験を行っているとのこと。
これにより、治療効果がやはり特定の強い感情シグナル(恐怖や多幸感)によって生じるのか、それとも感情に関係なく、ケモシグナルに共通する何らかの機能によって生じるのかが分かるはずです。
満員電車でいつも他人の汗の匂いに辟易している方からすれば、意外すぎる研究報告でしょうが、人の汗にはどこかで私たちをリラックスさせる作用があるのかもしれません。
参考文献
Scientists show that odors from other people’s sweat can help treat social anxiety https://medicalxpress.com/news/2023-03-scientists-odors-people-social-anxiety.html Is THIS the key to curing social anxiety? Scientists say sniffing someone else’s BODY ODOUR can help treat the condition https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-11898813/Is-sniffing-elses-BODY-ODOUR-key-curing-social-anxiety.html