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そんな中、同志社大学理工学部の北岸宏亮(きたぎし・ひろあき)氏の率いる研究チームは、血液中の一酸化炭素やシアン化水素と強く結合する化合物「hemoCD-Twins」の作製に成功したと報告しました。
北岸氏は20年以上にわたり、中毒ガスを解毒する合成ヘムモデル化合物(hemoCD)の研究を続けています。
今回開発されたhemoCD-Twinsの主な仕組みは、2種の合成ヘムモデル化合物を混ぜて血中に投与することで、有毒ガスの成分を吸着し、尿として排出するというもの。
具体的には、hemoCD-Twinsが血中で「hemoCD-P」と「hemoCD-I」という2つのヘムモデルに分解され、前者が一酸化炭素(CO)を、後者がシアン化物イオン(CN-)を補足することで解毒します。
実験では、一酸化炭素とシアン化水素を吸引させたマウスにhemoCD-Twinsを投与して、効果を検証。
その結果、hemoCD-Twinsを投与された13匹のマウスのうち、11匹(85%)は数分で血圧が正常に戻り、生き残ることに成功しました。
また血液中で中毒ガスと結合した化合物の大半は、投与から約2時間で尿として排出されています。
対照的に、化合物を投与しなかった18匹のマウスはすべて1時間以内に死亡したとのことです。
この結果からhemoCD-Twinsには、高い解毒作用と即効性があることが認められました。
チームは今後、臨床試験により人体への効果や安全性を確認した後、実用化に向けた医療用医薬品の承認を取得したいと話しています。
目標では5〜10年以内に救急車や救急病院におけるhemoCD-Twinsの常備搭載を目指しているという。
北岸氏は「hemoCD-Twinsは火災による死亡者を大きく減らすポテンシャルを持っており、大量生産できる体制を整えて、実用化につなげたい」と述べています。
参考文献
Novel synthetic porphyrin as a dual antidote against fire gas poisoning https://phys.org/news/2023-02-synthetic-porphyrin-dual-antidote-gas.html Antidote Against Fire Gas Poisoning: Overcomes Simultaneous Carbon Monoxide and Hydrogen Cyanide Poisoning https://scitechdaily.com/antidote-against-fire-gas-poisoning-overcomes-simultaneous-carbon-monoxide-and-hydrogen-cyanide-poisoning/