犬に馬肉を与えても問題ない?

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馬肉は牛や豚などの他の動物と比べて体温が4,5℃程度高く、筋肉などに寄生虫がいないことから、生の状態で食されることもある肉です。「馬刺し」が大好き!という方も多いことでしょう。犬にも生の状態で与えることができる安全性の高いお肉です。

また、馬肉は飼育中にホルモン剤や抗生物質などを投与されることもないので、清浄肉と呼ばれるほど安全です。低脂肪低カロリーでありながら高たんぱくな食材なので、犬が必要とするたんぱく質を効果的に摂り入れることができるでしょう。

最近では、愛犬の健康を気にする飼い主や高級志向の飼い主向けに、馬肉を原材料としたドッグフードも多くなっています。それほど馬肉は愛犬の健康作りに欠かせない成分が多く含まれているという事です。肝臓や腎臓に疾患を持つ犬やシニア犬の食事にも積極的に摂り入れることが勧められているほどです。

犬に馬肉を与えてもいい量

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愛犬の普段の食事にドッグフードを与えているなら、馬肉を与えるときはその分ドッグフードの量を減らしてバランスを取るようにしましょう。副食を与えるときは1日の食事量の10~20%程度を与えると良いとされています。ドッグフードのトッピングに加えたり、おやつやご褒美として与えたりすることができます。

犬の食事を手作りしている場合は「肉類50%、ご飯40%、野菜類10%」が犬の栄養バランスとして良い比率とされています。この比率をもとにして、犬の体重ごとにどれくらいの馬肉を与えることができるか見てみましょう。

超小型犬の場合

超小型犬とはポメラニアンやマルチーズ、ヨークシャーテリア、チワワやトイプードルといった犬種のことで、体重が4kg未満の犬を指します。

超小型犬の1日の食事量は体重1kgの犬で約100gです。犬の体重が1kg増えるごとに食事量は約50gずつ増やします。肉類は食事量の半分なので、超小型犬(体重1~3kg)に与えていい肉量は50g~100g程度と考えることができます。

小型犬の場合

小型犬は体重が10kg以下の犬のことです。柴犬やパグ、狆(チン)、シーズーやミニチュアダックスフンドといった犬種がその中に含まれます。

小型犬(体重5~10kg)の1日の食事量は体重に合わせて約300~500g程度です。小型犬の食事量は体重が1kg増えるごとに40gずつ増やす計算です。食事量のおよそ半分が肉類だとすると、150~250g程度の馬肉が与えていい量となります。

中型犬の場合

中型犬にはウェルシュコーギーやパセンジー、ビーグルやバセットハウンド、ボーダーコリーといった犬種が含まれていて、体重が25kg以下の犬のことです。

体重10~25kgの中型犬は1日の食事量が500~1000g前後です。中型犬は体重が1kg増えるごとに35gずつ食事量を増やすことができます。馬肉などの肉類は250~500gを目安に食事に含めることができるでしょう。

大型犬の場合

大型犬とは体重が25kg以上の犬のことです。ラブラドルレトリバーやゴールデンレトリバー、セントバーナード、ドーベルマン、ダルメシアン、ボルゾイといった犬種が含まれます。

大型犬(体重25~40kg)は食事量が約1000~1450g程度です。大型犬は体重1kg増加するごとに30gずつ食事量を増やします。馬肉は食事量の半分である500~725gほど与えることができます。

子犬の場合は注意が必要

馬肉は歯が生え始めた子犬にも与えることができますが、子犬にも与えるときは慎重に与えるようにしましょう。

子犬は消化がまだ上手にできません。下痢や嘔吐など消化不良を起こしやすいので、体重に関わらず「ごく少量」だけ与えて様子を見るようにした方が良いでしょう。また、成長のためには栄養バランスが大事なので、子犬が喜ぶからといって馬肉ばかり与えてもいけません。

犬に馬肉を与えることで期待できる効果

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馬肉には良質なたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質は皮膚や被毛、筋肉や爪の健康を保つのに非常に大切な栄養素です。血液や骨を作るのにも欠かせません。

馬肉は「オメガ3脂肪酸」「オメガ6脂肪酸」も豊富で、これらは血液の循環や動脈硬化の予防に効果を期待できます。鉄分は豚肉の4倍、鶏肉の10倍ほど含まれていますし、エネルギーを蓄える「グリコーゲン」は牛肉の3倍も含まれています。

犬に馬肉を与えるときの注意点

馬肉は基本的に犬に安心して与えられる食材ですが、すべての犬が食べて問題ないわけではありません。中には、馬肉も含め特定の食材にアレルギーを持つ犬もいます。

また、日ごろ食べ慣れていないものを口にしたときに下痢や嘔吐してしまう犬もいるので、アレルギーの可能性も含め、初めて犬に馬肉を与える時はたくさん与えるのではなく、ティースプーンに軽く1杯程度からスタートするようにしましょう。

もし、馬肉を食べた後で皮膚を痒がるとか、口の周りが赤い、嘔吐や下痢の症状が出ているといった場合はアレルギー反応が出ている可能性もあります。自己判断せずに獣医師に相談するようになさってください。

スーパーで販売されている加熱用肉を生で与えても問題ない?

馬肉は生の状態でも安心して与えることができますが、スーパーなどの置いてある鶏肉や豚肉などを生の状態で与えるのは危険です。

基本的にスーパーなどに置いてある肉は加熱することを目的として販売されています。生の状態の鶏肉や豚肉などには大腸菌やサルモネラ菌、カンピロバクターなどの細菌が付いている恐れがあります。これらの菌は加熱すれば死滅しますが、生で食べてしまうと食中毒を起こしてしまう危険が高くなります。生では与えないようにしてください。

情報提供元: mofmo
記事名:「 【獣医師監修】犬に馬肉はOK!食べてもいい量と与えるときの注意点!【2022年版】