猫に栗を与えても問題ない?

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栗はブナ科クリ属の木の一種です。暑さが落ち着く8月中旬頃から収穫が始まり、大体9~10月にかけて旬を迎えます。

世界中に数多くの品種がありますが、大きく分けて日本栗、中国栗、ヨーロッパ栗、アメリカ栗があります。私たちがよく食べているのは日本栗や中国栗です。

日本栗には様々な栄養素が含まれています。主な栄養素は、「ビタミンB1」「ビタミンC」「タンニン」「カリウム」「食物繊維」などです。

猫にとって中毒となる危険な成分は栗の中に含まれていないため、基本的に猫が栗を食べても問題ありません。しかし、大量に与えてしまうと猫の体に負担をかけてしまうため注意が必要です。

猫に栗を与えてもいい量

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少量であれば、猫に栗を与えても問題ありません。しかし、栗にはミネラルの一つでもある「マグネシウム」も含まれていて、猫に栗を与えすぎると尿路結石を引き起こす場合があります。

マグネシウムは、心臓の働きを整えてくれたり、骨を作る働きをしたりと、猫にとっても欠かせない大切な栄養素です。しかし、猫の健康維持のためにも成長段階ごとにマグネシウムの摂取量を調整し、過剰摂取することがないよう配慮してあげることが必要です。

子猫の場合

AAFCO(米国飼料検査官協会)が定めている栄養基準では、子猫は100gあたり0.08%以上のマグネシウムを摂取することが定められています。

子猫の場合、消化器官機能が未発達なので特に注意が必要です。リスクを上げないためにも、子猫にわざわざ栗を与えることはやめた方が良いでしょう。

成猫の場合

成猫の場合は、0.04%以上のマグネシウムを摂取するのが適正とされています。

たとえば、マグネシウム含量0.08%のキャットフードの場合、100gで80mgのマグネシウムを摂取していることになります。

中国栗には100gあたり71mg、日本栗には100gあたり40gのマグネシウムが含まれているため、中国栗なら一つ、日本栗なら二つ食べただけで、猫は一食分で摂取するマグネシウム量とほぼ同量のマグネシウムを摂取したことになります。

ですから、成猫に栗を与える時は少量だけ与えるようにし、マグネシウムを過剰摂取させることがないように注意しましょう。

老猫の場合

高齢期になると消化器官が弱ってくるため、マグネシウム含有量を低減しているフードを選んであげることが大切です。

フードに含まれるマグネシウムの量を確認するには、パッケージの裏などにある成分一覧表を確認してください。マグネシウムの適正量としては、だいたい「0.04%~0.10%」を目安に猫の成長段階に合わせてフードを選んであげると良いでしょう。

猫に栗を与えることで期待できる効果

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栗に含まれるビタミンB1には、「チアミン」と呼ばれる酵素が多く含まれています。この酵素には、猫の疲労回復を助けたり、皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあります。また栗に含まれるビタミンCには、解毒作用や免疫機能を促進する作用があります。

さらに栗にはカリウムも豊富に含まれています。カリウムにはナトリウムを排出する働きがあるため、猫の高血圧予防などに効果があります。

加えて、栗の渋皮にはポリフェノールの一種である「タンニン」が多く含まれています。タンニンを摂取することで、コレステロールの酸化を防ぐことができ、動脈硬化になってしまうリスクを下げることができます。

猫に栗を与えるときの注意点

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生の栗は消化しづらいので、猫に栗を与えるときは必ず柔らかくなるまで加熱したものを与えるようにしましょう。

また、栗には食物繊維が豊富に含まれているため、猫が下痢をしていたり、体調不良が見られる場合は与えないようにした方がいいでしょう。さらに栗はカロリーが高いので、与えすぎると肥満になる可能性があります。

また先ほども取り上げたように、尿路結石の原因となってしまうマグネシウムも含まれています。繰り返しますが、与えすぎには注意してください。

もし栗を食べた後に愛猫が何らかの体調不良を起こしたなら、すぐに病院に連れて行って獣医師の指示に従ってください。

甘栗やモンブランは与えても問題ない?

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猫に栗を食べさせても大丈夫という事は、甘栗やモンブランなど栗を使った食品も食べさせて良いのでしょうか?

結論からいうと、与えない方が良いです。なぜなら、甘栗やモンブランなどには保存料や砂糖が大量に含まれており、猫の糖尿病の原因となってしまうかもしれないからです。

ですから、猫に栗を与える時は加工や味付けがされていないものをあげるようにしましょう。

情報提供元: mofmo
記事名:「 【獣医師監修】猫に栗はOK!食べてもいい量と与えるときの注意点!【2022年版】