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猫ちゃんはまばたきの回数がとても少なく、かつ一回のまばたきが長い動物として知られています。人間はまばたきを1分間に約20回繰り返すと言われています。約3秒に1回まばたきをしている計算です。しかし猫ちゃんのまばたきの回数は1分間に約3回と言われています。ある研究資料によると、18.5秒に1回まばたきをするとされているようです。
人間の約6倍の長さをまばたきせずに過ごすことができるのは、この第三眼瞼があるからです。第三眼瞼にある涙腺は、普通のまぶたで瞳に涙を供給するよりも多くの量を目に分泌することができます。
涙の量を測るために用いられるシルマーテストという検査があります。ろ紙を目にあてがって、涙がどれだけしみ込んだかによって涙の量を検査するというものです。人間であれば通常は5分間のシルマーテストで10mmの長さがろ紙にしみ込めば正常値、5mm以下であればドライアイであると診断されます。
しかし、猫は1分で10mmから20mmが正常であるとされています。猫のほうが5分の1の時間で同じ量かそれ以上であることがわかるので、単純計算で人間の5倍ほどの量の涙が分泌されていることになります。第三眼瞼の涙腺は涙のうちの30%から50%の産生に寄与しているため、第三眼瞼が猫ちゃんたちにとってとても大切なものであることがわかります。
しかし第三眼瞼の働きはそれだけではありません。猫ちゃんたちが目を閉じるたびに、第三眼瞼が車で言うワイパーのような働きをして瞳に付着したゴミを除去してくれます。さらに、まばたきするたびに水分の蒸発を防ぐ油分を目の表面になじませる働きもしています。そのため、猫ちゃんたちは長い時間まばたきをしなくても平気なのです。
■外傷や細菌から瞳を守る
第三眼瞼の役割はまばたきの回数を少なくても良くするだけではありません。他の猫とケンカになったときや、獲物に襲い掛かるときに不慮の事故で瞳を傷つけてしまうことがないようにするためにも機能しています。まぶたが1枚多くあることによって、とっさの事態でも眼球に致命的な外傷が及ぶ可能性を減らすことができます。
また、第三眼瞼を覆うリンパ小球からは抗体や免疫媒介物質が分泌されているそうです。そのため、細菌が瞳に付着してしまっても感染症になりにくくしてくれているのです。第三眼瞼は猫ちゃんの健康に欠かせない存在であると言えます。
Vladimir Melnik/shutterstock.com
ここまでで、猫ちゃんの白目の原因である第三眼瞼について説明してきました。第三眼瞼は瞳を守るうえで欠かせない役割を担っています。
寝ている時に第三眼瞼が見えてしまう程度なら問題ありませんが、猫ちゃんが起きている時や活動している時にも第三眼瞼が出てしまっている状態は正常ではありません。なぜなら猫ちゃんがまぶたを開くと第三眼瞼もしっかりと開き、まぶたの内側に収納されるようになっているからです。
では、猫ちゃんが起きている時にも第三眼瞼の白い部分が見えてしまっている場合、どんな原因の影響であることが予測されるのでしょうか。ここからは、第三眼瞼に関わるトラブルの種類と考えられる原因や緊急度について考えていきます。
白く薄い膜状であるのが通常ですが、ピンク色であったり赤みがかった色になっていたりする場合には病気の可能性があります。
第三眼瞼に少し傷がついてしまっているだけの可能性もありますが、細菌感染である場合もあります。重症度はあまり高くありませんが、長く続いているようであれば念のため動物病院を受診するようにしましょう。
炎症を起こして第三眼瞼が腫れてしまっている時や、第三眼瞼の形状を支えている軟骨に異常が起きてしまった場合には、まばたきの後に第三眼瞼がもとに戻りにくくなってしまいます。
猫が目を開けているのに第三眼瞼が入り切っていない場合や、まばたきした後に第三眼瞼が収納されるまでに長く時間がかかっているようであれば、何かしらの異常が予想されます。
第三眼瞼がうまく機能しないために他の症状も発症してしまうことがないよう、早めに動物病院に連れていくようにしましょう。
第三眼瞼が収納されないままの状態が長く続いている場合には、まぶたの内側の第三眼瞼腺が炎症を起こしてしまっている可能性や、先天的な病気で第三眼瞼腺を固定する結合組織が弱いという可能性が考えられます。目の周辺組織に腫瘍ができてしまった時や、目の周りの神経が麻痺している時などにもこのような症状がみられます。
さらに、猫ちゃんが体調を崩してしまったために脱水症状を起こすと眼球が陥没してしまい、第三眼瞼が出たままになってしまう場合もあります。
ほかにも長時間移動し続けた場合や、環境が大きく変化した場合に猫ちゃんが大きく感じるストレスなどによっても一時的に第三眼瞼が出たままになってしまうことがあります。
ストレスや体調不良の原因が思いつかない場合には重大な病や腫瘍を抱えている場合もありますので、できるだけ早く動物病院に連れて行ってあげるようにしましょう。