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アルコール度数5パーセント未満110ml
アルコール度数15パーセント未満40ml
アルコール度数40パーセント未満13ml
度数40パーセントは、ウイスキーやウォッカなどの蒸留酒です。これだけ強いお酒を好んで飲んでしまうような犬はいないと思われますが、致死量は意外なほど少ない(危険な)ものです。
度数40パーセントのお酒が13mlといえば、ショットグラス(30~45ml)のさらに3分の1程度であり、これを一気に摂取すると死んでしまうのです。
この数値はすべての犬の研究結果ではないためあくまで目安となる数値ですが、同じくその他の体重のイヌの致死量とされている数値もご紹介しておきましょう。
・犬の体重2kg
アルコール度数5パーセント未満220ml
アルコール度数15パーセント未満80ml
アルコール度数40パーセント未満26ml
・犬の体重3kg
アルコール度数5パーセント未満330ml
アルコール度数15パーセント未満120ml
アルコール度数40パーセント未満38ml
・犬の体重4kg
アルコール度数5パーセント未満440ml
アルコール度数15パーセント未満160ml
アルコール度数40パーセント未満52ml
・犬の体重5kg
アルコール度数5パーセント未満550ml
アルコール度数15パーセント未満200ml
アルコール度数40パーセント未満65ml
ちょうど体重の倍数をかけた数値がそれぞれの致死量とされています。あくまで目安ですが、体重1kg当たり5~6gが致死量のようです。
この量が水やジュースに混ざっていても当然死に至る危険性があります。
致死量を避ければ安全なように見えますが、実はそうではではありません。致死量とは、「摂取すると死に至る量」であり、半数致死量(その量を与えると半数の個体が死に至る量)などの数値が用いられている場合もあります。
犬のアルコールの致死量は100パーセント確立されている訳ではないため、個体差によって死に至る場合もそうでない場合も想定できます。
致死量で言えば、砂糖(1.5kg~3.6kg)や水(8.6kg~36kg)でも致死量というものがあり、過剰摂取は常に命を危険にさらします。
犬におけるアルコールの場合、その致死量は人間と比べて非常に少なく、体重が1キロのチワワがペロリと一舐めしただけで死んでしまったケースもあるほどです。
致死量のガイドラインや一般的な数値はあるものの、犬がアルコールを分解できないという事実も合わせると、多少大げさでも「一口でも舐めると死の危険性がある」と思っておいて損はありません。
Masarik/shutterstock.com
では、犬が自分たちにとってそれほど危険で害のある、言わば“毒の飲み物”を飲んでしまうのはなぜでしょうか?アルコールそのものを好むというよりは、アクシデント的な理由で飲んでしまうことがあるようです。
犬がアルコールを口にしてしまうケースで多いのは、「飼い主が飲んでいて寝てしまい、気づくと愛犬も飲んでいた」というものです。単なる不注意であり、避けられたはずの事故でしょう。
家主が飲んでいるうちに寝てしまい、気が付いたときには犬が目の前で痙攣していたというケースや、リビングの低いテーブルにアルコール入りのグラスを置いてトイレに行き、戻ってくると飲んでしまっていたというようなケースも多数報告されています。
このような場合、再発を防ぐのは簡単です。「お酒を飲んでいる間は片時も目を離さない」ようにするしかないでしょう。恐らく手が届かないであろう食卓でしか飲まないようにすることや、飲んでいる部屋には犬を入れないなどの対策が取れるはずです。
特に、体重が1kg程度の小型犬は、ごく少量のお酒を口にしただけで本当に死んでしまう危険性があります。
ご自身がお酒を飲む際は、「犬には少量でも死に至る危険な毒物」だという認識を持って飲むようにするしかないでしょう。正月やお盆など、何かとお酒が出やすい時期に悪ふざけのつもりで犬に飲ませ、そのまま死なせてしまったというケースも少なくありません。
アルコールの影響は、人間にも犬にも同じです。酔いが回ってふわっとした気分になり、足取りや呂律が不確かになります。
しかし繰り返しになりますが、犬にはアルコールの毒素を分解する酵素がないため、酔うとそのまま危篤状態になってしまうリスクが高まります。大型犬ではそのリスクは減るものの、死に至る危険性がなくなる訳ではありません。
「千鳥足になるのが面白くて少しだけ与えてみたら、その夜に呼吸困難になって死んでしまった」というケースも実際に聞かれます。その飼い主さんの後悔や自責の念はどれほど強いことでしょう。
ちょっとした悪ふざけや余興のつもりでお酒を与えることは絶対にやめましょう。アルコールは犬にはあくまで毒であり、それ以上でも以下でもありません。
特に、カクテルやジュース割りなど甘いお酒を飲んでいる場合は特に注意してください。アルコールそのものには寄ってこない犬でも、甘い香りに誘われてつい舐めてしまい、危篤状態や呼吸困難に至ってしまう犬もいます。
床に少しこぼしてしまっただけでも命取りになりかねません。死亡する可能性は低くても、中毒になる可能性があるかもしれません。あるいは、ブランデーやウイスキー入りのデザートやスイーツも危険性があります。猫と違って犬は甘味を感じるため、やはり誘惑されてアルコールを摂取してしまうことがあるでしょう。
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少し触れましたが、犬がアルコールを飲んだ際に生じる症状は、人間のそれと大きくは変わりません。中毒症状により近い危険な状態になると、人間がアルコールを摂取しすぎた際に生じる反応や症状に近いものとなります。
・ふらつく、千鳥足になる、こけたり起き上がれなくなる
・嘔吐する、胃液を吐く・意識がもうろうとする、話しかけても反応がない
・目を見開く、あるいは閉じたままぐったりとしている
・呼吸困難、呼吸が異常に荒い
・心肺機能が弱る、心肺機能停止になる
・嘔吐物をのどに詰まらせる
・尿をもらす、何度も尿をする
他にも、個体差によって様々な異変を示すことがあるようです。
注意すべきなのは、繰り返しになりますが「致死量を飲んでいない場合にも起こり得る」ということです。
体重から概算できる致死量の半分しか飲んでいなくても、酩酊や泥酔状態に陥ってしまうことがあります。ちょうど人間でも、急性アルコール中毒にならなくても酔っぱらってしまうようなものです。
そして犬の場合は、その少しのアルコールすら分解できない体の仕組みが災いし、毒素が残ったまま体をむしばんでいくのを待つことになります。
動物病院に一秒でも早く連れて行くことです。人間が飲み過ぎた場合のように対処することはできません。
水を飲ませる、牛乳を飲ませるなどの処置はそれほど有効ではありません。すぐに動物病院に連れて行き、必要な処置を受けさせましょう。
・意識がある場合
嘔吐を誘発させ、体内のアルコールを出来るだけ吐き出させる
・意識がない場合
胃洗浄を行う。活性炭を使用して胃腸内のアルコールを吸着させる。静脈へ温かい点滴を打つ。呼吸困難に陥っていれば、人工呼吸を施す。心肺停止になっていれば、心肺蘇生を行う。
病院では、このような応急処置を行うのが一般的です。これだけの処置を施しても、犬の状態や時間の経過によっては助かるかどうか分からない場合もあります。
適切な治療をすぐに行うことが出来れば、12時間以内に回復するのが普通です。