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今回は犬の運動神経についてまとめてみました。
短距離走が得意な犬、持久力があって長距離を走ることができる犬、泳ぎが得意な犬など抜群な運動神経を持っている犬はたくさんいます。
そんな犬にずば抜けてすごい運動神経があるのならば、それは犬の身体の作りに関係していることと言えます。犬の身体の作り・・・つまり身体能力について理解しておくことが必要です。
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犬の視力は軽い近視で人間の視力でいうと0.2〜0.3程度で、距離でいうと2〜3m以内のものしかはっきりと見ることができないようです。
しかし動きのあるものを見る動体視力は発達していて動くものに対しては100m先でも敏感に反応するようです。
野生の生活では周りからの情報をどれだけ早くキャッチするか否かで生きるか死ぬかが分かれてきます。犬の視野は広く危険を察知したり、獲物を捕らえたりするときに役立ちます。
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柔軟な筋肉で作られている脚力は抜群です。犬の脚は速く走ることもできますし、長く走ることもできます。またジャンプ力も備えていてどんな犬であっても自分の体高の数倍は高く飛べるようです。
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肉球は皮膚の角質層が硬くなったもので、人間のかかとのようなものといえます。足の裏は爪・指球・掌球・狼爪・手根球で形成されています。
指球と掌球は地面の衝撃から骨や関節を守ってくれる衝撃緩衝材のようなものです。手球根は坂道や凍った道などでブレーキのようなものです。
また全ての犬ではありませんが指と指の間に水かきのような膜を持った犬もいますがそれらの犬には個体差はありますが泳ぎが得意と言われています。
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犬のしっぽは感情を表現するためのものとよく言われますが、それだけではありません。走ったり、飛んだり、泳いだり、急停止するためにバランスをとる「かじ」の役目など、運動するときには目立つことはありませんが大きな役割を果たしています。
ここではいくつかの犬の身体能力をピックアップしてみましたが、このような作りになっているために犬の運動神経がずば抜けて良いということがわかります。
ではいくつかの種目別に見ていきたいと思います。
短距離走が得意で抜群なスピードで走る犬はサイトハウンドに分類される犬種と言えるでしょう。一般社団法人 ジャパンケネルクラブ(JKC)によってサイトハウンドに分類されている犬種には
などがいます。
shutter stock
サイトハウンドとは嗅覚ではなく主に視覚と走力で狩をする犬達のことです。
・身体的特徴
柔軟な背中は自然のアーチ型を描き、脚も長く細っそりとしています。細身ですが筋肉質で胸からお腹にかけて切れ上がるように細くなっていて、比較的大きな心臓や効率的な肺を持っています。
一般的に犬の視野は200度〜250度ほどと言われていますが、サイトハウンドは270度以上を見渡すことができます。なぜならば細長い頭部という特徴を持っているため視野が広く確保できるようです。また。ほとんどの犬は近視のようであるにもかかわらず、サイトハウンドは正視眼と言われていますので視界のピント調整力を持っています。その目で獲物を見つけロックオンし相手が疲れ果てるまで追いかけて、牙で捕らえてくるというもので、まるっきり人間の出る幕はなしという感じです。
・走るスピード
サイトハウンドのカテゴリーに属している犬はとにかく足が『早い!!!』です。速度は時速60〜70kmと言われていています。
時速60km以上のスピードで走ることができるのは、「ダブルサスペンションギャロップ」と呼ばれる前脚と後脚をそれぞれ前後に伸ばしている状態と背中をバネのように使い4本の脚を中心に戻す時の二回、体が宙に浮く(サスペンション)走法を用いているからでしょう。それは見ていてスカッとするくらいカッコいいです。
ちなみに世界最速の哺乳類という割れているチーターも「ダブルサスペンションギャロップ」という走り方をしています。チーターは時速89〜100km/hと言われています。ものすごいスピードではありますが、チーターの場合最高速度を保てるのはせいぜい200〜300mくらいです。それに比べてサイトハウンドのサルーキの場合は、3kmほどの距離を60〜70kmのトップスピードで走り続けることができるというわけですから、最高速度そのものはチーターにかないませんが、スタミナや持久力はチーターよりもサルーキの方があるようです。
こうした身体的特徴があるためサイトハウンドの犬種たちは、瞬発力が必要とされる短距離走が得意なんでしょう。
「短距離」が得意な犬もいればもちろん「長距離」が得意な犬もいます。では「長距離」が得意な犬にはどのような犬種がいるのでしょうか。
これらの犬種はまさに長距離を走ることが得意な犬種です。
シベリアンハスキーやアラスカンマラミュートなどは寒い地域で狩猟犬や犬ぞりを引く役目を担ってきました。犬ぞりレースは世界各地で開催されていますが、犬ぞりレース「ベリンギア」は1990年に初めて開催いされ、第一回大会は8チームが参加し、距離は250キロというものでした。翌年1991年には1980キロという距離になり、犬ぞりレースとしては最長のものとしてギネスブックに登録されました。
また犬ぞりの出すスピードですが、もともと犬ぞりは人が荷物などを運ぶ移動手段だったため、極端に速く走る必要はありませんでした。一般的な移動用の犬ぞりの速度は平地で時速14〜20kmくらいで自転車を普通に漕いでいる速度です。しかしレースとなるともう少し速く平均速度が30kmに上がります。
スピード的にはものすごく早いというわけではないかもしれませんが、極寒、厳寒、酷寒の中、何時間も走れるわけですから身体能力といい、運動神経といいものすごいパワーを持っているのではないでしょうか。
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1925年、このハスキー犬のスピードがアラスカの町ノームを疫病から助けました。病原菌は「ジフテリア」です。当時のノームは十分な量の血清を確保していなかったため、最悪10,000人を越える市民が死んでしまうという危機的な状況に陥りました。
ノームへの血清移送という急務を完遂するため、犬ぞりが採択され、ニナナからノームまでの全長1,080キロメートルという距離を1925年1月27日に氷点下46度のニナナを出発しました。300,000ユニットの血清は、20人のマッシャー(犬ぞりの操縦者)と100頭以上のそり犬たちでのリレー輸送で、荒れ狂う猛吹雪と氷点下57度を下回る体感温度の中をわずか5日と8時間でノームに到着しました。これは通常なら25日かかる旅でした。
特にノームへ至る最終区画を担当したチームは暗闇やブリザードのため全くといっていいほど方向が分かりませんでしたが、犬ぞりのリーダー「バルト」に実質的に進行方向を任せノームに到着するという偉業を成し遂げました。
この出来事は「Great Race of Mercy(偉大なる慈悲のレース)」と呼ばれ、ハリウッドではこのストーリーを基に「バルトのノームへのレース」というドキュメンタリー映画が制作されました。
・高い判断能力を兼ね揃えた優秀な犬
身体能力、運動能力に加え、クレパスのひび割れなど危険が目前にある時に自己判断で回避するために必要な自己判断能力にも優れている「スーパーわんちゃん」と一言では言い切れないほどの能力のある犬です。
では次に、家畜を護衛しながら長距離の移動をさせる役目を担ってきたダルメシアンの運動神経についてご紹介したいと思います。
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筋肉質な体型からお分かりのように運動が大好きな犬種です。あまりにもハイテンションになってドッグランなどで制御できなくなってしまうこともあるので日頃からコントロールできるようにしつける必要があります。
では、もともとはその運動能力を発揮するどのような犬だったのでしょうか。
・なんでもそつなくこなす事ができる
ダルメシアンは何でもこなす万能犬で、その働きは軍用犬、猟犬、回収犬、牧羊犬などどれも体力を使う仕事をしていました。その中でもダルメシアンでなければできない仕事として「馬の伴走」というものがありました。
フランスやイギリスのビクトリア王朝時代を振り返ると、旅行手段は駅馬車でした。「馬車だから馬でしょ!」と思いますが、ダルメシアンの仕事は馬と伴走しながら駅馬車を盗賊や野犬から守るといういわば「ボディガード」のような仕事でした。
・高い体力と持久力を併せ持つ
馬の足並みに合わせる協調性と、馬のスピードと持久力についていくだけの体力を持っている犬はダルメシアンならではのものなのです。
時代とともに自動車が普及し、駅馬車の伴走犬としての仕事はなくなりましたが、ダルメシアンが馬をリードして他の動物たちから馬を守ることができるという能力に目をつけた消防署がダルメシアンを起用しました。
ファイアーアラームが鳴り響くとダルメシアンが馬を火事現場までリードしていくというこれまた運動能力が求められる仕事を責任を持って果たしてくれました。そんな過去のお仕事からか現在でもダルメシアンは消防署のマスコット犬として扱われています。
抜群の体力と持久力を持つダルメシアンは筋肉質の『超アスリート犬』です。彼らはいづれも強い忍耐力と体力、力強い身体を持ってます。
今後、長距離が得意な犬を飼ってみたいという方は1日2回、1時間以上のお散歩ができるかどうか検討してからにしてくださいね。
散歩をサボってばかりいると肥満になってしまい、寿命を縮める原因となってしまうので、注意が必要です。