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人だけではなく鳥や蝶といった地域の生物にとってもオアシスとなるような街づくりができないか。
―――そんな仮説から研究・開発・社会実装した戸建住宅プロジェクトが、ポラスグループ中央住宅・ポラス暮し科学研究所による「リーズン馬込沢SuBaCoプロジェクト」(千葉県船橋市 4棟)。
その特長や優位性を、中央住宅 戸建分譲設計本部 設計一部 デザイナー 山下隆史課長・山崎正吾係長(ともに一級建築士)、ポラス暮し科学研究所 住環境G デザイナー 福代昇一係長が教えてくれた。
「リーズン馬込沢SuBaCoプロジェクト」(千葉県船橋市 4棟)は、人と生き物がともに暮らす街づくりをめざす船橋市「生物多様性ふなばし戦略」に沿って開発が行われた。
計画地には風致地区による厳しい緑地率規制があり、通常より多いボリュームの植栽を持たせることを模索し、街の緑化で生物多様性に貢献するという発想にたどり着いた。
そこで船橋市と協議を行い、住んでいる土地と SDGs のつながりも体感できる分譲住宅として開発し、「リーズン馬込沢SuBaCoプロジェクト」が実現した。
「ひとつの試みがやがてたくさんの緑の拠点となり、人と生物が共生できる」
そんな居住空間を具現化した「リーズン馬込沢SuBaCo」は、周囲の自然や生態系とつながる街づくりをめざし、全棟55坪以上の敷地を確保、美しい緑とコンセプトテラスを両立できる広さに設定した。
4棟の街の中心には、ベンチを備えたコミュニティスペース「センターテラス」をレイアウト。
各邸2台分のカースペース(車種制限あり)や、野鳥の好む「実のなる木」など、自然との共存と快適性の両方を支えるエクステリアも特徴的。
そんな「リーズン馬込沢SuBaCo」には、3つの特長がある。
フットパスは各邸を結び、縁側テラスが屋外での活動を促す。土地の広さを最大限に活用し、人と人をつなぐ。
生物多様性の視点から分譲地を緑化。景観以外の緑の価値を引出し、生物の活動領域を拡げ、自然と人をつなぐ空間をつくりだしている。
住民・市・事業者が協働し、ポラスグループが選定した植栽の手入れ(1年保証)や、アプリでの生物の学び場づくりなどを通じて持続化を図り、未来へつなぐ取り組みも続ける。
ポラスグループ中央住宅・ポラス暮し科学研究所「リーズン馬込沢SuBaCoプロジェクト」(千葉県船橋市 4棟)は、2024年度 グッドデザイン賞を受賞し、こう評価された。
「敷地を4宅地に分割し、それぞれに建売住宅を建設する、いわゆる「ミニ開発」のプロジェクトである。
これまではそれぞれの「住宅」そのものの価値を追求したものがほとんどであったが、本物件は住戸間に発生する「住民同士の関係性」や、さらには地域に複数存在する野山や公園などの緑地から飛来する「鳥の休息地」となるように植栽を施し、野鳥と共に暮らす環境を実現。
敷地を超えた「見えない関係性」をデザインの対象として意識している点に、業界としての大きな進化が見られ評価した」(グッドデザイン賞 審査員評価)