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皆さんは、何か困難にぶち当たった時、どうするだろうか?敢えて危険を回避する。失敗を恐れず、そこに挑んで行く。色々な選択があって良いと思う。しかし、今回紹介する草野氏は、一度とてつもないどん底を味わった。借金、倒産、裏切り。そこを乗り越えて、今また、ラーメンの世界で輝いている。
27歳で借金50億の負債を背負った男。それから、再び立ち上がり作った渾身の一杯。ばんから社長草野直樹氏。父は、くるまやラーメンの創業者。直樹氏の父は、やり手で、5年間で150店舗まで広げた。しかし、同じ店の経営に携わっていた父の兄弟が、独立してラーメンとん太を始めた。
「一時期くるまやと同じ味になった。」草野氏の父が、味を変えて盛り返したが、今度は、常務が脱退してラーメン店を作り、10年後には専務が脱退した。この辺りから、くるまやの経営がおかしくなった。
以前のようなフランチャイズ方式を止めて、2年間で200店舗の直営店を作った。結果、メインバンクの長期信用銀行だけで、約40億の借り入れをすることになった。
その後、まさかの長銀の倒産。ある日突然、監査法人がやって来て「これ以上資金は出せません。社長を交代して下さい」。息子である直樹氏が社長になったが、結局倒産した。27歳で50億の借金を背負うことになった。
直樹氏は、もう一度自分自身の人生を見つめ直すことになる。そこで出した結論が、『自分にはラーメンしかない』。そして、直樹氏は、自分が持っているノウハウを生かして、他の店をプロデュースすることを始めた。麺から始めて、麺とスープ、根昆布を仕入れて、レシピを考え、今のばんからの基となる味と売り方を確立した。
少しずつキャッシュが動き始めて来た時、直樹氏は、こう考えるようになった。『やっぱり自分の持っているノウハウを使うしかない。ただ、今までと同じやり方ではダメだ。』
そして、自分自身で店をオープンし、徐々に今のばんからの形が出来上がっていった。ばんからは、角煮をテーマにしたいと思い、オープン当初は夜12時以降に来たお客さんに無料で提供した。余った角煮を捨ててしまうより、お客さんに喜んで貰った方が良いという、直樹氏の想いからだった。
そうするとお客さんが喜んでくれて、また来てくれて、常連客が少しづつ増えていった。ばんからの今のリピーター率は、85%を誇っている。ばんからは、徐々に売り上げを伸ばし、現在では海外7店舗、国内に38店舗を有するラーメン企業に成長した。タイでは、No.1の人気店になっている。
『元気を食べてもらいたい』これが創業からの精神。
ばんからの味の特徴は、食べ進めることで、三段階の味を楽しめること。ばんからのジャンルは、東京豚骨。ラーメンの脂の溶け具合で違った味を楽しめるのだ。『先味・中味・後味。』
出来立てのばんからラーメンは、フレッシュな背脂を直に味わう事が出来る。これが、「先味」。まだ溶け出していない背脂は、そのまま食しても旨味のカプセル。噛んだ瞬間に旨味・甘味が口の中に広がる。また醤油の香りが一番感じられるのが「先味」だ。
食べ進めるうちに背脂が溶け出し、旨味がスープ全体へ広がっていく。これが「中味」。この中味こそ、ばんからの自信作。旬の味、真骨頂といえる。背脂・醤油・麺、その他全ての具材がバランスよくマリアージュしている状態は、まさに至福の時。
最後の味は、「後味」と呼び、ばんからラーメンの醍醐味。醍醐味とは仏教でいう「五味」の一つであり、濃厚な味わいと、甘味を持った液汁とされているが、ばんからの「後味」は背脂が全て溶け出した状態で濃厚さが、より増している。
最後の一滴まで飲み干して貰えるように、精魂込めて作り上げている。ばんからは、系列店にホルモン店があるため、良いホルモンを入手することが出来る。そのホルモンを、ラーメンに乗せたメニューも人気だ。
直樹氏は、ラーメン業界を憧れの業界に変えたいと話す。そのため、ラーメン店を出店する時に、初期投資を抑えられるラーメンレンタルシステムを導入した。
全国に4万店あるといわれているラーメン店。その内の4千店が毎年潰れていると言われている。そして、そこにまた4千店が新規で出店してくる循環が続いている。直樹氏は、壮絶な人生で学んだノウハウを全て注入し、潰れないラーメン店を増やしていきたい考えだ。
若者が憧れる業界になった時、また新たなラーメン文化が作られるはずだ。一度どん底、そして絶望を味わい、そこから復活を遂げた直樹氏の今後の活躍から、目が離せない。
株式会社 花研 https://hanaken.co.jp/
掲載元 PR TIMES
参照 私の哲学 http://www.interliteracy.com/philosophy/kusano_n.html